2003.10.08
「救世主」

この日、休みの俺は母親の誘いで紅葉を見にいく事になった。

メンバーは両親&祖父母&俺。計5人。

必然的に俺、運転手。

実はこの面子での行動は生まれて初めて。

俺が子供の頃にはあったのかもしれないが記憶が無いのでノーカウント。

何をするわけでもなく、ただ紅葉を見るために片道約2時間のドライブ。

会話が無くなったときのためにCDをいつもより多めに積んで出発。

初めの一枚は元々CDデッキに入っていたCDでスタート。

発車2分。乗客から「ウルサイ」とのクレームが2件。

すっかり忘れてた。

今日の車内の平均年齢は53.8歳(俺を含む)。

運転手の俺は、少しおとなし目の洋楽に変更。

5分後、「邦楽ないの?」との注文1件。

しまった!この日に限ってほとんど洋楽ばかり積んできた。

久々に困った。

好きな女の子を初めて車に乗せる時くらい選択に困った。

俺はもう運転に集中できず、頭の中で他のBGMを選考中。

そんな中、助手席に乗っていた親父がボソッと

「AMラジオ」と一言。

指示されたままAMラジオを選択、

するとどうだろう!?ラジオパーソナリティーの喋りに全員が反応。

俺のCDには全くのらなかった乗客が

AMラジオから流れる「なごり雪(イルカ)」に一緒になって口ずさむ。

その後、会話も途絶えることなく快適に車は走った。

生まれて初めてAMラジオに感謝した。

ありがとうAM。

さらに車は進み山道へ。

俺の心配は的中した。

「電波が届かない」

雑音がヒドくなり、もはや聴ける状態ではない。

しょうがなく俺がCDに代えようとした瞬間

親父がオーディオの電源を切った。

久々に親父の優しさに触れた。