2003.11.01
「店長。」

俺は高校3年間、「焼肉屋」でバイトをしていた。

仲の良いバイト仲間にも恵まれ、楽しい高校時代を過ごすことができた。

ただ、社員との仲があまり良くなかった。

そんなありきたりなバイト生活を送ってきた。


この間、友達と2人で昼飯を食いに行った。

そこは「しゃぶしゃぶの食い放題」が売りな店で

昼は格安ランチがいただけるとてもナイスな店だった。

俺ら2人を出迎えたのは女子高校生であろう、バイトの店員。

俺達は注文を済ませ、飯が来るのを待っていた。

「いらっしゃいませ〜」。

と、男の声。

俺は、どこかで聞き覚えのあるこの声に思わず振り向いた。

その「声」を発した男を見て確信した。

「店長だ!」

そう。高校時代のバイト先の「店長」だ。

「店長」は、一生懸命、接客をしていた。

「店長」は、一生懸命、お茶を運んでいた。

バイトと、同じ格好をして。

女子高校生の子と同じ格好をして。

俺の中では「店長」だった人もここでは「○○君」だった。

どう見ても年下と思われるスーツの社員に命令されてた。

切ない。

社会って厳しいんだね「店長」。

俺はその店を出るときに「店長」に声をかけた。

俺 : 「お久しぶりです!」

店長 : 「え?・・・お〜!」

俺 : 「元気してました?」

店長 : 「お〜。元気しとるで〜。お前は元気やったかぁ?」

俺 : 「元気してますよ。」

店長 : 「今、何しとんねん?働いとるんかぁ?」

俺は、聞き慣れない「関西弁」に戸惑いながら会話を続けた。

その後、最後に会ってから今日までのお互いのことや近況を軽く話して店を出た。

店を出た俺は一人考えた。

「店長」はなぜ「関西弁」だったんだろう?

俺の知ってる「店長」は標準語だ。

さっき聞いた話では、関西の方に行ったとも、北海道を出たとも言ってない。

どこで覚えたんだろう・・・?

しかも「関西弁」がめちゃくちゃ下手クソだった。

本物の「関西人」が聞いたらたぶん怒るくらい下手だった。

そんな疑問を残したまま

別れてしまった自分にちょっと後悔した。