2004.01.10
「ゲレンデマジック」

男3人でボードに行った。

俺にとっては今シーズン初滑り。

もちろんハシャいだ。

そのスキー場には最大6人乗りの「ゴンドラ」があり

俺達はそれをメインに利用した。

スキー場自体、あまり混んでいなかったので

本来、6人乗りなのだが3人で占拠した。

楽しい滑りを満喫。

だが昼過ぎになり少し混み始め、ゴンドラで相席することになった。

スキー場では当たり前のことだが

俺はその空間がとても苦手だ。

正直、息が詰まる。

俺達3人が乗り込んだゴンドラに

係り員の誘導で女の子が1人乗り込んできた。

俺の正面に。

ゴンドラがゆっくり上昇していく。

さっきまで叫んだり、大声で笑ったりして乗っていたのが

嘘かのように静かな空間。

グローブに付いた雪を落とし、ゴーグルのくもりを取る。

こんなことをして、確実に息が詰まっていく。

小声で喋る友達との会話もなんだかぎこちない。

友達も同じ思いだったのだろう。

俺は勇気を出し、声を出した。

俺 : 「お一人ですか?」

女の子 : 「はい。」

あれ!?なんかナンパっぽいか?キモイぞ俺!

静まる室内。

俺ピンチ。

俺は続けた。

俺 : 「1人旅?」

女の子 : 「そうです♪」

明るい反応に安心しながらも

またしてもナンパっぽい!もうダメか〜?

友達 : 「どこから来たの?」

ナイスです!ナイスタイミングです!

それから話は盛り上がり、あっという間に終点・到着。

俺達は滑り下り、次のゴンドラ。

今度は運良く3人で占拠。

そこでさっきの女の子の話になった。

「かわいかった。(たぶん)」

深めの帽子、口元まで上がってるネックウォーマーにより

見たのは目と鼻だけなのだが、明るい声と”俺達の想像”によりその女の子は

「かわいかった。」

その後も俺達はゲレンデを楽しんだ。

そして、少し休憩するためにロッジに入った。

メニューを選び、食べ物を受け取り、席を探していると

さっきの女の子が1人で席に座っていた。

「あれ?可愛くない。」

「全然違う・・・。」

顔を確認して俺達は絶句した。

勝手に「想像していた顔」とは全然違う「顔」がそこにあった。

友達 : 「ゲレンデマジック!」

俺 : 「これが!やられた〜!」

女の子は豪快にビールを飲んでいた。

タバコをふかしながら。ワイルドに。

それを見ながら俺達はアイスクリームを食べた。

なんか敗北感でいっぱいだ。