2004.01.27
「婆」

先日、病院に行ったときの話。

午前10時に受付を済ませ、診察してもらえたのが

なんと・・・

午後3時半。

「ふざけんなよ〜。いつまで待たせるんだ?」

と、誰もが思っていたはずだ。

ここはこの街で一番デカイ病院。

待合室は待ってる人でごった返し。

だが、そこはみんな大人。

思っていも我慢。イライラしても表に出しません。

本を読む人。

編み物をする人。

歳の近い人を探して、会話をする人。

寝る人。

でも、やっぱりいました。

「受付にカラむ人」。

いやぁ、キツかった。

ふと、殴ってやろうかと思ったよ。

おばあちゃんを。

「おばあちゃん」。

なんとも世間一般に「弱者的」な言葉だが、

あの「おばあちゃん」は弱者じゃない。

むしろ強者だ。そんな「おばあちゃん」は略して「婆」だ。

受付の人に

婆 : 「あと、何分?あたしの番まであと何人!?」

受付 : 「すいません。まだ、先に来た患者さんが終わってないので。」

婆 : 「ホントに、どれだけ待たせれば気が済むんだい!」

受付 : 「すいません。」

婆 : 「こんなに待たされるからお腹減ったよ。外行ってご飯食べてきていい?」

受付 : 「それは・・・」

婆 : 「それなら早くしてちょうだい」

そう言って、ブツブツ文句垂れながら、自分の座っていたイスに戻る。

なんとも子供の発想だ。

「婆」は、その後も約30分おきに受付を脅してストレス発散している様子。

まぁ、ストレスを溜めない事は良いことだ。

だがしかし!

その「うるさい声」を聞いてる俺等の身にもなってみろ。

普段おとなしい僕も、

無意識のうちにあなたをニラんでいましたよ。

あたりまえだが、そんな「婆」はみんなから避けられる存在。

混雑している院内でも「婆」の両サイドに座る者はいない。

それを良いことに「婆」はイスを3つ占拠して横になった。

仮眠。

立って待ってる人もいるのに、「婆」はお構いなしに寝てしいました。

だが誰も文句を言う人はいない。

そして、誰もが願ったはずです。

(全員) : 「起きるな。」

「むしろ、そのまま・・・」

そう。「婆」は、もはや「無敵」と化していた。

誰もヤツは止められない。

だが、そんな「婆」に近付く勇気ある人間がいた。

「アユミちゃん(仮)」。

2歳。

お母さんの診察のため一緒に来院した「アユミちゃん(仮)」。

とても良い子で遊んでいた「アユミちゃん」も、いい加減ヒマを持て余し、向かった先はなんと無敵と化した「婆」。

そして、まんまとえじきとなってしまった。

アーメン。

婆 : 「あ〜ら、お嬢ちゃん可愛いねぇ。いくつ?」

アユミちゃん(仮) : 「ヤイヤイ」

婆 : 「ん?何歳?」

アユミの母 : 「2歳です。」

あぁ!また1人犠牲者が・・・。

そうだよね!自分の子は見殺しには出来ないよね!親子愛だね!

婆 : 「可愛いお洋服だねぇ。どこで買ってもらったの?」

「歳を「ヤイヤイ」と答えている子が、答えられるわけねーだろ!」

と、思いっきりツッコんでやりたかったが、ここは我慢。

あやうく自殺を図るとこだ。

そのあとも「アユミの母」への「婆」の攻撃は続く。

婆 : 「幼稚園の手続きはした?どこの幼稚園?」

婆 : 「あなたは仕事してるの?そのときどこに預けてるの?」

そして極めつけは、

婆 : 「でも女の子でよかったね。男だったら就職とか大変だったよ?女の子なら、いい男捕まえて結婚すればいいけど。」

2歳の子を目の前にして何てことを言いやがる!?

親としては、これからの将来が楽しみな我が子なのに。

このとき、もはや「アユミちゃん(仮)」は放ったらかし。

飽きた「アユミちゃん(仮)」が泣こうが叫ぼうが、「婆」は会話を止めない。

本当の犠牲者は「アユミの母」だった。

そしてやっと「婆」が診察室に呼ばれた。

婆 : 「ほんとに、これじゃ予約の意味がないじゃない!」

と、最後に大声を出して診療室に入っていった。

と、同時にいくつものタメ息がこぼれた。

みんなよく我慢しました。

ほんとにお疲れ様でした。