2004.02.08
「現代アート」
街の美術館にて、「アメリカ現代美術展」というものが開かれていた。
冷やかし半分で会社の先輩と3人で行って来た。
会場に入場し、目に入ってくる作品はどれも
「こんなの俺でも描ける」
「なんだこれ?落書きか?」
と、来場している客の中で、誰よりもふざけて見ていた。
「全然わからん(芸術が)。」
美術館の関係者からしたら、一番来て欲しくない客層だろう。
だが、バカにしていた作品も、数を見て行くにつれ感想が変わっていく。
「これいい。」
「何コレ、すげー。」
初めは三人で見ていた我々も、
自分の好きな作品を自由に見て回るようになった。
館内には、所々にテレビが設置されていて
映像が流れている。
俺達は、テレビの前に並べられているイスに座り
しばらくの間、見ていた。
10分程見ただろうか。
俺 : 「全然わからん。」
「この作品は誰が描いてんだ?あの白髪頭か?」
いくら芸術に興味がわいても
英語はわからん。
おそらく作品の作者を紹介している映像だと思うのだが、
なんせ、英語で喋り、字幕無しでは、俺に打つ手はない。
「やっぱりわからん(英語が)。」
そのあとも作品を観賞していると
ある客が目にとまる。
普段、俺にはあまり接点のない「美術館」にはいろんな人がいた。
格好良くビシッとスーツを着こなした夫婦。
ベレー帽に細い眼鏡の、”いかにも”って人。
明らかに付き合いで来てしまった、ゴルフウェアを着たお父さん。
俺等と同じ、ふざけ半分で見に来てしまったカップル。
「お水系」の格好・化粧で、あくびをしながら作品を見ている女性。
作品と同様、ここにはいろんな人がいる。
その中でも一際目立ったのが
黄色い着物を着ている女性だった。
気になった。
気になって仕方なかった。
「なぜ着物なのか?」
まぁ、言ってみれば着物も”芸術”だ。
だがしかし、今日の展示テーマは「アメリカ現代美術」。
「なぜだ?何、関係ある?」
そんな事を考えながら、館内を歩いていると
今度は”青い着物”を着た女性が!
「今度はブルー!?」
「なぜだ?流行なのか?」
俺は美術館と着物というミスマッチな関係に悩みながら作品を見た。
はじめ30分で見終わる予定が、1時間半も居座ってしまった。
芸術よりもなによりも、なぜ着物だったのかがわからない美術展だった。