2004.09.30
「ノック」

先日、百貨店に買い物に行ったときのこと。

『グルルルルル・・・』

突然の便意に襲われた俺は、トイレにダッシュ!

「何だ?何に当たった?」

思い当たる節も無く、ただ襲いかかってくる「便意」を封じるのに精一杯だった。

ようやくの思いでトイレにたどり着き、安堵感に満たされていると

『コンコン』

俺が入っている個室のドアをノックする人。

俺は自分の存在を示すためにノックを返した。

『コンコン』

すると、間髪入れずにノックが返ってきた。

『コンコン』

俺は、もう一度返すことにした

『コンコン』

だが外にいる人間は、ノックの意味を理解していないのか

更にドアを叩いた。

『コンコンコン!』

俺は、ちょっと苛立ちノックを返すのを止め、無視をした。

だが、少しの休憩のあとに更にノックをしてきた。

「コンコンコンコン!」

いい加減腹が立ったので、外へ出て文句の一つでもと思ったその時・・・

力の無い老婆の声が俺に向けられた。

老婆 : 「おじ〜ちゃ〜ん」

俺 : 「っ !?」

俺は、パニックになった。

自分が想像だにしていなかった状況に陥り、俺はパニックになった。

老婆 : 「おじ〜ちゃ〜

俺 : 「違います!違います!」

パニックになった俺は、ただ否定することしかできなかった。

怖かった。

叫び声にも聞こえる俺の否定を聞いた老婆はノックを止め

隣の個室に入った。

老婆 : 「よ・・い・・・しょ。」

『ジョロジョロ・・・』

用足してました。

お婆ちゃんが、男子便所で用を足しました。

俺は無力だった。




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