2004.12.20
「ジンタン」

エレベーターに乗った。

先にオジサンが一人乗っていた。

とてもジンタン臭いオジサンが乗っていた。

狭い個室に充満するジンタンのニオイ。

俺は、呼吸をするのを止めた。

オジサンが途中で降りた。

俺は、「助かった!」と思い呼吸を再開した。

俺 : 「うっ!?」

まだ臭かった。

これほど強烈なジンタンのニオイを嗅いだのは初めてだった。

目的の階に着き、俺はやっとその個室を脱出した。

俺と入れ違いに、女の人が乗り込んだ。

エレベーターの扉がゆっくりしまった。

扉の向こうで、女の人がムセた。

俺 : 『ちがう!俺じゃない!』

俺の心の叫びは届かなかった。




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