2005.12.23
「20歳の男と警察へ」

昨年末、夜中の二時近くに
職場の先輩とラーメンを食べていました。

閉店間際だったので
客は、俺達3人と、奥にいる若い連中、カウンターにおじさんが一人。
先に若い連中がワイワイ言いながら会計を済ませ出ていきました。

間もなく一人の若いアンちゃんが戻ってきました。

キョロキョロするアンちゃん。

すると店にいる全ての人間に聞こえるように
しゃべり始めました。

アンちゃん : 「あのー!車ぶつけちゃんたんですが・・・」

「まさか俺じゃないべ。」と、たいして興味も無く
その続きをただ耳に入れていると
俺の、予想を見事に打ち砕く一言を口にした。

アンちゃん : 「あのー、ゴルフ乗ってる方・・・。」


どーーーーん!


俺だ。

俺は、「寝起きですか?」と思うくらい低いテンションで
力無く右手をあげ、返事をした。

俺 : 「あーい。」

慌てて俺の元に来るアンちゃん。

アンちゃん : 「すいません!あのー車ぶつけちゃんたんですけど、ちょっと車見てもらっても良いですか?」

ウソであってくれと思うばかりに、聞き直してしまった。

俺 : 「マジで?」

アンちゃん : 「はい。すいません!」

俺はゆっくりと席を立ち表へ出た。

外にはアンちゃんと仲間と思われる連中が俺の車を囲んで
たむろしている。

その少し前には見事にローダウンした白のVIP車が。

「ハイハイ!邪魔ですよ!」と言わんばかりに俺は連中を押し分けて
愛車の元に向かった。

おお!ゴルフ!俺の愛車!こんなにボコボコになって・・・

って、そんなんでもありません。

全然対したことありません。

ナンバーが折れ曲がってるくらいで
暗い駐車場じゃ全然わかりません。

「こんなの当て逃げしてもわからないのに。」と心の中で思いましたが
そんな事は口にせず、俺は不機嫌な表情を変えなかった。

アンちゃん : 「すいません。申し訳ありません。」

俺 : 「・・・(無言)。」

ぶつけられた車の状態よりも何よりも、「年末にめんどくさい。」っていうことで不機嫌でした。

ホントにたいしたこと無かったけど面倒だったので
警察に任せることにしました。

ぶつけたアンちゃんと2人で近くの交番に行きました。

ガラガラ・・・。


『ただいまパトロール中です』


いねーし。

寒いし眠いし面倒だし、お兄さんますます不機嫌です。


俺 : 「にゃろ〜。これだから警察はキライだ・・・ブツブツ・・・。」


交番に着いてからも、俺に謝り続けるアンちゃん。

二十歳そこらの若者にしては謝り方も丁寧だし、敬語も出来てる。

でも何か、ちがう。

何ていうか・・・・”軽い”。

そこが、さっきから
「別に気にしないでいいよ。」っていう言葉を何度も飲み込む原因だ。

数十分後、やっと警官が到着して
お互いの年齢や職業を聞かれた。

そこで、やっと納得した。

警官 : 「じゃ、ぶつけた君ー職業は?」

アンちゃん : 「プレイランド○○です。」

警官 : 「ん?何の会社?」

アンちゃん : 「・・・パチンコ屋です。」

俺 : 「なるほど!」

思わず声が出てしまった。
どうりで謝り慣れしてる訳だ。

「そういうことか〜。」と一人で納得してました。
そして、引っかかっていたものが解明したので
スッキリして帰りました。

謝るときは気持ちを込めて謝ろうと、再確認できました。




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